
この映画は観客に理解させる気がない。だからといって、理解できなくても面白いかといえば、面白みに欠けている。「数字に取り憑かれていく」という面白い設定をまるで活かせていない。
この映画はいわば、数字に取り憑かれて最終的に自殺する、本当にそれだけだと思いました。マックスの能力を欲しがる株家や宗教家、隣人やかつて「π」の研究をしていた友人のソルを「一応」出しているだけで、どれも中途半端にしか見えない。とにかくマックス以外の登場人物が「とりあえずいる」だけで、物語がまるで進まない。
それでいて、物語についても何もかもが唐突です。急になぜか脳みそが出てきたり、マックスが坊主になったり、血だらけの手の男を目撃するなど、とにかく観客に理解させる気がありません。
また、この映画のタイトルは『π』ですが、物語を通して「π」と関係性があるとは全く読み取れません。数学者の物語なのに特に数学的な物語でもないのはどうかと思いました。硬派な数式や数学用語はとりあえず出しているだけとしか思えません。私だったら、『π』というタイトルに意味を持たせるため、「π」と関係性がある物語になるように株家は登場人物に出さず、宗教家やソルの描写を中心に描きます。
一部の演出や、全てを理解してしまった代償として、マックスが今までは朝飯前だった簡単な計算ができなくなってしまうという終わり方は素晴らしいと思いましたが、全体を通してこの映画の良さが特に見えてこなく、とにかく理解できないまま終わるため、総合的な点数は19点という印象になりました。