※初めに、今作の批評内には漫画『デビルマン』の第1話のネタバレを少し含みます。
本当に少しですがそれでも良いという方はお読みください。それ以外の原作のネタバレは含まれません。
批評
今作は原作の本当にちょっとした設定や”たった一言の台詞”を最大限に活用し、壮大な話へと進化させ、原作のテーマは受け継がれたまま見事に映像化した作品である。
今作は原作からかなり設定が変更されている。
ネタバレにならない箇所のみ挙げるが、長くなるため箇条書きで取り上げる。
- 主人公が泣き虫という設定の強化
- 主要人物のほとんどは陸上部:原作ではヒロインだけだった(それもヒロインの陸上部での描写は原作には一切なかった)
- 舞台年代の変更:原作は1972年〜1973年に連載され、舞台もちょうど当時に合うように設定されていたが、今作は2018年に公開されたもので、2018年時点での現代に合うように変わっている
- 新たな登場人物、原作であまり登場しなかった人物を主要人物化:原作連載当時は多かったヤンキーが減った現代では、代わりに時代に合った新たな登場人物が登場
もちろんもっと変更点は存在するが、基本的な展開は原作から逸脱していない。
上手い改変は原作の矛盾も解消され、展開も分かりやすく、もっと多くの人の心に刺さるようになっている。
特に今作で注目してもらいたいのは箇条書きの1つ目と2つ目だ。
まず、「主人公が泣き虫という設定の強化」についてだが、原作においても「主人公が泣き虫」という設定はあった。
しかし、この設定に関しては実は原作では第1話だけでしか触れられず、しかも”たった一言”だけの本当にちょっとした程度だった。
一方今作ではとても重要な設定の一つとなり、それも副題となるほどだ。
副題の「crybaby」は、日本語で「泣き虫」という意味だ。
次に、「主要人物のほとんどは陸上部」についてだが、こちらも本当にちょっとした設定を最大限に活用している。
もちろん意味があるからヒロイン以外も陸上部になっているわけだが、主要人物が陸上部だからできるような、原作のテーマの強化に成功しているのだ。
原作よりも過激なエログロとなっているため、子供の視聴はできないが、原作を読んだ方だけでなく一度は全ての大人に観てほしい作品である。
原作は↓
スタッフ・キャスト
監督:湯浅政明
脚本:大川内一楼
原作:永井豪
キャスト:内山昂輝 村瀬歩 潘めぐみ 小清水亜美 田中敦子 小山力也 アヴちゃん 津田健次郎 他
2018年制作/全10話/日本