批評
登場人物の誰にも感情移入させず、一体何が悪いのかを考えさせられる映画となっている。
今作の大まかな内容は、「行き過ぎた転売をしていたら、ネット民から敵意が向けられ、命を狙われる」というサスペンス・スリラー劇だ。
主人公は、最初こそは中古商品のせどり程度だったものの、味を占めて明らかに敵意が向けられるほどの行き過ぎた転売をしてしまう。視聴者も展開が進むにつれて嫌悪感を抱く方が増えるのではないだろうか。
やがて本気で命を狙おうとするネット民が集結するのだが、その人たちも明らかに行き過ぎだと感じる方は多いのではないだろうか。
今作はおそらくほとんどの方が登場人物の誰にも感情移入できないだろう。その代わりに、一体何が悪いのかを考えさせられる構成となっている。
意外にも脚本に現実味が薄かったり、突っ込みどころが多いため、面白い脚本が観たい方は白けてしまうかもしれない。
何でも良いから暇をつぶしたいという方は観ても損はしないのではないだろうか。
スタッフ・キャスト
監督：黒沢清
脚本：黒沢清
キャスト：菅田将暉 古川琴音 奥平大兼 岡山天音 赤堀雅秋 吉岡睦雄 荒川良々 窪田正孝 他
2024年制作／123分／日本
