批評
他人事とはとても感じさせない脚本が上手い映画となっている。
今作はあらかじめ冒頭で実話の事件に基づいていると示される。
今作の大まかな内容は、「様々な事情で学校にも行けなかった主人公が、社会で暮らしていけるよう努力していく」という人間ドラマだ。
今作の題名の『あんのこと』の「あん」が主人公になるのだが、この題名には非常に多様な意味を持たせていると強く感じさせられる。
実は今作は丁寧な説明が少ない。意味深な描写も多い。
しかし、視聴者に常に何かを感じさせる。
今作の登場人物は「あんのこと」を大切に考えてくれている周囲の人や、「あんのこと」を道具のように扱う人たちだ。
一体何が「あんのこと」を学校に行けなくしたのか、なぜ彼女はあんな行動を取ったのか。
様々な登場人物から、他人事とはとても感じさせない非常に現実的にこのようなことが起こり得ると実感できる。
終始非常に重苦しいが、一度は全員に観てほしい映画である。
スタッフ・キャスト
監督:入江悠
脚本:入江悠
2024年制作/113分/日本